バルセロナの企業が成し遂げた成功
スペインのTEMSA Metallurgical Groupは、世界有数の冷間成形用特殊工具メーカーです。同社はまた、長年にわたりSTUDERの円筒研削盤を使用しています。バルセロナのTEMSA工場を訪問しました。
多数の機械やモニター付き作業テーブルがあり、作業に集中する大勢の専門作業員が従事している秩序を感じさせる広いホールを白いワークシャツに身を包んだアルフォンソ・ヴィヴァール (Alfonso Vivar) 氏が進んでいきます。あらゆるものが適切な場所に配置されており、すべての作業工程が正確に計画され、中央では黄色いロボットアームが整然と作業を行っています。弊社は、バルセロナ西部に8,000平方メートルの巨大ハイテク工場を擁しています。生産管理マネージャーのヴィヴァール氏は、この工場を隅々まで熟知しています。彼のシャツには、彼が勤務するスペイン企業TEMSA Metallurgical Groupの赤く際立つロゴが刺繍されています。同社は、冷間成形用高精度工具の製造に特化した世界トップクラスのメーカーであり、同時に粉末冶金、焼結、精密切削加工分野におけるエキスパートでもあります。
冷間成形では、再結晶温度以下の金属に高い圧縮力と引張力を与えて所要形状に成形します。金属切削加工と比較した場合、ワーク1個あたりの加工時間を大幅に短縮できるため、量産時のコスト削減につながります。高い強度、複雑な形状、優れた表面特性も冷間成形がもたらす利点です。この成形方式で製造されている部品には、航空宇宙や自動車などのハイテク産業向けのものも含まれます。ただし、これらの部品の製造には適切な専用工具と技能が不可欠です。ここで本領を発揮するのがTEMSAです。
「弊社のチームは、ミクロンの公差で特殊工具を製造することができます」とヴィヴァール氏は誇らしげに語ります。バルセロナ近郊のTEMSA製造拠点では約100人の従業員が勤務しており、高い要件を求める全世界の顧客向けに製造を行っています。「私たちのノウハウを活用することで、短納期を実現することもできます。ただし、これらを実現できるのは、信頼のおける最高性能の機械を導入しているからにほかなりません」と彼は説明します。
技術に対する信頼
「これは、今年favoritCNCと共に購入した新機種STUDER S100です」。ヴィヴァール氏が白く塗装され、青いアクセントが施されたCNC複合内面円筒研削盤を指さします。STUDER円筒研削盤を象徴するこのカラーコンビネーションは、この工場でよく見かけることができます。TEMSAは、長年にわたってスイスメーカーの機械に信頼を寄せてきました。最新世代のCNC複合内面円筒研削盤であるS131を含む数台のSTUDER機が、ここで研削加工を担っています。「私たちは当メーカーの技術に信頼を置いており、またメーカーとの良好な協力関係を高く評価しています」とヴィヴァール氏は設備投資を決断した理由を説明します。さらに、STUDERマシンの高い精度、信頼性、容易な操作性により、生産効率を可能な限り高めるのに役立っています。
たとえば、S100は、内面、端面、外面研削用途に幅広く使用できる最高の精度を備えた万能モデルです。この機械は、長さが550 mmまでの幅広いワークを加工することができます。またfavoritCNCは、長さ680 mmまでの中型ワークの単品生産および量産に対応したCNC複合研削盤です。どちらの機械も費用対効果に優れており、頑丈なミネラルキャストGranitan®製のマシンベッドや、操作性を高めるハードウェアとソフトウェアの相互作用など、最高級な技術を提供します。特許取得済みのStuderGuide®ガイドシステム、最大4本の研削スピンドルを備えた研削スピンドルタレット、追加C軸を備えた内面円筒研削盤S131は、あらゆる種類のフランジ部品や小型ワークの高精度加工に最適です。
ダイレクトコミュニケーションによるカスタマーサービス
機械の品質のほかに、ヴィヴァール氏がSTUDERを選択したもう1つの重要な理由があり、「カスタマーサービスが優れており、スペイン語を話せる担当者が何人もいる点です」と彼は語ります。そのため、直接かつ簡単にコミュニケーションを図ることができます。彼はSTUDERの提供する「予防メンテナンス」(preventive maintenance) サービスも、評価しています。このサービスには、STUDERの技術スペシャリストによる機械の定期的・日常的な検査が含まれており、生産ダウンタイムのリスクを最小限に抑え、機械の寿命を延ばすことができます。
アルフォンソ・ヴィヴァール氏の隣に立っているのは、STUDERのヨーロッパ・ラテン地域担当セールスマネージャーであるリカルド・デライ (Riccardo Delai) です。デライは定期的にバルセロナの工場を訪れ、TEMSAの従業員と電話でもよく連絡を取っています。「個人的に接触を図ることは非常に重要です。何がうまくいっているか、どこで何が不足しているかを把握できるからです」とデライは語ります。また最近になってSTUDERは、スペインに現地駐在のサービス技術者を配置し、顧客の問い合わせにさらに迅速に対応できるようになりました。デライにとって、南ヨーロッパのこの国は将来的に重要な市場です。その理由として、スペイン国家と欧州連合がハイテク分野に投資する現地企業に的を絞って支援していることが挙げられます。「私たちは、100%スペイン企業であるTEMSAが成し遂げた国際的成功を喜ばしく思っています。そして、この成功は弊社の機械で実現できることを示しています」とデライは強調します。
成功を確実にする未来への投資
TEMSAのサクセスストーリーは、超硬合金とスチール製の高精度工具を製造していた創業間もない30年以上前にさかのぼります。従業員、ノウハウ、最先端設備への継続的な投資を通じて、このスペインの会社は、瞬く間に全世界で高く評価される企業へと成長していきました。同社は今日、冷間成形プロセス用特殊工具において、世界市場をリードする企業の一社になっています。「私は弊社のチームをとても誇りに思っています。私たちは一つの大家族なのです。ここで働く多くの人が二世代目であり、クリスマスには必ず一世代目の人々を交えて一緒に食事をします」とTEMSAで25年間勤務するヴィヴァール氏は語ります。
こうした伝統を大切にする価値観は、未来への先見性と密接に結びついています。だからこそTEMSAは、生産をより効率的にするため、早い段階から自動化を導入してきました。その一例が、この工場にある360度回転動作する黄色いロボットアームです。このロボットアームは、多数の工作機械を自動的に配置し、必要に応じて、また加工サイクルに応じて使用できます。「将来的には、さらに高度な自動化を導入したいと考えていますが、それは挑戦的な課題です」とヴィヴァール氏は説明します。STUDERは、カスタマイズおよび標準化された自動化ソリューションにおいて豊富な経験を有しており、この分野の優れたパートナーでもあります。たとえば、S100にはローダーインターフェイスと自動スライドドアを装備することができるため、自動化された生産設備に組込むことが可能です。またS131には、ローダーと周辺機器に対応した標準化インターフェイスが搭載されています。
アルフォンソ・ヴィヴァール氏とリカルド・デライは、ロボットアームや機械、作業に集中する従業員の前を通り、広いTEMSAホールを抜け、見学を続けました。「TEMSAが新しいSTUDER機2台に満足してくださったことを大変うれしく思います」とデライは述べ、ヴィヴァール氏と握手を交わして別れを告げました。「私もうれしく思っています」とデライ生産管理マネージャーは笑顔で、「では、また近いうちに」と挨拶を交わしました。
- 最高の精度と優れた費用対効果を兼ね備えたCNC複合内面円筒研削盤
- 最長ワークピース長さ(クランプ装置を含む)は550 mm、最大ワークピース直径は420 mm
- StuderPictogrammingによる容易な操作とプログラミングサポート、STUDER QuickSetと自動研削スピンドルタレットによるセットアップ・段取り時間の短縮
- 中型ワークピースの単品生産および量産(最大80/120 kg)に対応し、最高の費用対効果を備えたCNC複合研削盤
- ひとつの段取で外径研削と内径研削が可能
- StuderPictogrammingによる容易なプログラミング、外部PCで研削・ドレッシングプログラムを作成できるStuderGRINDオプション
- ワークピース長さ300 mm(クランプ装置を含む)とワークピース直径250 mm(最大100 kg)に対応した最新世代のCNC複合内面円筒研削盤
- リニアドライブ搭載のガイドシステムStuderGuide®と最大4本の研削スピンドルを備えた研削スピンドルタレット
- フォーム研削や、ねじ研削に対応したワークヘッドC軸
- ローダーと周辺機器に対応した標準化インターフェイスと自動旋回式ワークテーブル