少量生産の無人円筒研削プロセスn
少量生産の無人円筒研削プロセス
世界的に展開している MPS Micro Precision Systems AG (MPS) は、要求の厳格な IT02 公差等級の高精密コンポネントを研削プロセスで連続生産しています。自動化とプロセス最適化によって、中型ワークピースも無人で毎日 24 時間週7 日体制で柔軟に生産することが可能です。フレキシブルな生産セルで、将来的なプロジェクトおよびプロトタイプをより早く市場に投入できます。
400 人を超える従業員を擁する MPS は、言わば«隠れたチャンピオン» です。1969 年に設立されたMPS の前身である RMB (Roulements Miniatures Bienne SA) 社は、アポロ計画向けのコンポーネント開発にも携わりました。MPS グループ最大の拠点であるビール(Biel)では 140 台の旋盤、フライス盤、研削盤、研磨機、および、浸食機を有しています。
研削盤への継続的な投資
Michael Bazzan(生産部長): «7 台の Studer 研削盤が、優れた研削能力で高精密コンポーネントを生産します。研削盤は、バッチサイズに合わせて調整されています。単品生産から年間 25,000 個の生産に至るまで、参照用のバッチサイズを複数揃えています»
現在、7 台の Studer 機械のうち 3 台にバッチサイズに合わせた自動ローディングシステムが装備されています。次に、Studer S33 を使ったボールねじの製造、および、柔軟な生産セル(フレックスセル)で動作する Studer S21 をご紹介します。
プロトタイプ製造向けの柔軟な生産セル
Didier Noirjean – (フレックスセル担当マネージャー): «最近、独立した生産ユニットとしてフレックスセルを円筒研削プロセスに統合し、生産に影響を及ぼすことなくプロトタイプの研削プロセスと新たに開発した技術を導入しました。この柔軟な生産セルにより、コンポーネントの開発から製造までの時間が大幅に短縮されました。Studer S21 の特長は、極めて迅速に変更に対応し、さまざまなコンポーネントに合わせてセットアップすることが可能だということです。S21 は軌道研削プロセスにも対応します。Studer S21 は要件に合わせて完璧に設計されています。»
フレックスセルは、主に、プロトタイプの製造で使用します。 さらに、6 台の Studer 機械でバッチパーツを処理します。これには、高精密設計のボールねじが含まれます。
コアコンピテンスであるボールねじ
最小ボールねじのボール径は 0.8mm となっています。ボールを含むすべてのコンポーネントは MPS が独自に開発・製造しています。ねじ山がゴシックアーチ状の大きいねじ型スピンドルシリーズは、全自動 Studer S33 で製造します。
高精度アプリケーション向けボールねじ駆動
M. Nercide: «この精密ねじ型スピンドルを使用して研究および開発を続けています。MPS Microsystems は、さまざまなレンズにおける極めてスムーズかつ高精度な位置決めノウハウを有しています。このノウハウを活用して、ズームおよびレーザービームフォーカシングシステムなどの光学コンポーネント向けの高性能アライメントシステムを提供しています。»
お客様のご要望に合わせたシステム
MPS Microsystems のミニアチュアボールねじ、または、ボールねじ型スピンドルは、すべてステンレス鋼製です。軸遊びの微調整が可能なダブルナットで位置決めします。受注生産されることの多い、スピンドルの高精度研磨済みのねじ山が、摩擦を最小限に抑えた動きを確保します。適切なカスタマイズ生産: カスタマイズされたボールねじののオプションを多数取り揃えております。
J. Grosjean: «このアプリケーションでは、100% 遊びのない最高の精密度と位置決め精度が求められます。ここに、私たちのスピンドルシステムの強みがあります。いわゆるゴシックアーチ状のねじ山プロファイルを最小の公差で研削します。こうすることで、半径方向の遊びと側面の遊びをゼロにまで低減します。»
ゴシックアーチ状のねじ山: ブランク から研削
ゴシックアーチ状のねじ山は硬化されたブランクから直接研削します。Studer と提携して、ゴシックアーチ状ねじ山形状向けにマクロを開発しました。このマクロにより、それぞれのねじ型スピンドルに合わせて研削パラメータを極めて迅速に調整することができます。
U. Weyermann(Fritz Studer AG 地域販売部長): «ここで使用する Studer S33 は、リボルバー研削ヘッドストックのある外面円筒研削盤です。ここで使用する研削ヘッドストックには 2 つの外面研削砥石があります。1 つの砥石はねじ山プロファイリングのために使用されます。2 番目の砥石は外面円筒研削用です。»
無人化生産向けのハンドリングシステム
中型ワークピースを経済的に製造するために、Humard 社は MPS と Studer 提携し、ワークピースの自動積み込みおよび積み下ろしのための柔軟なハンドリングシステムを開発しました。
M. Bazzan: «当社のバッチサイズは多様です。ハンドリングシステムのコンセプトの特長は、さまざまなワークピースジオメトリに合わせて迅速に調整できるという点です。»
典型的なねじ山研削プロセス
Studer S33 は 15 分未満で直径 8 mm および長さ 120 mm のねじ型スピンドルを完全に処理します。その際、ねじ山を同じ研削砥石で研磨して調整します。研削プロセス全体を通して、研削砥石は µ 領域で複数回目直しされます。こうすることで、1 つの研削砥石でこの等級のねじ型スピンドルを 1000 本超研削することができます。»
複数の役割を果たすドレッシングプロセス
研削において、研削砥石のドレッシングプロセスは重要な役割を担っています。研削砥石の形状と寸法を校正することに加え、研削砥石の切削能力を定義します。
Julien Grosjean(ねじ研削担当マネージャー): «ねじ型スピンドルでは、通常、製造プロセス毎に複数回目直ししなければなりません。目直しにはダイヤモンドとツルーイングロールを使用します。ツルーイングロールによって、研削砥石の粗さを比較的明確に定義して、研削プロセスと表面品質を制御できます。研磨および調整プロセス向けの理想的な目直し手順にたどり着くまでに、多くの実験を実施してきました。» U. Weyermann: «研削プロセスの複雑性と機械の寸法を理解することで(キーワードは熱成長)、IT02 公差等級で無人化生産できることがわかります。7 台の Studer 全機が MPS が求める精度とプロセスの安全性を毎日確実に提供します。Studer 研削盤の極めて高い反復再現性により、私たちが求める IT-02 公差等級における毎日 24 時間週7 日体制の生産を実現しています。»
投資で生産コストを低減
MPS AG: 400 人の従業員 – 3 つの拠点 – 4 つのユニット
MPS Micro Precision Systems AG (MPS) はスイスの企業です。1936 年にRMB (Roulements Miniatures Bienne SA) として設立され、2003 年に社名を MPS に変更しました。当企業グループは、リニアボールベアリングとミニアチュアボールねじの分野のノウハウ、ならびに、電気機械システムの開発、処理、組み立てにおけるコンピテンスを提供しています。当社の電気機械コンポーネントとソリューションは、信頼性、高い精度水準、そして、コンパクトなサイズを特長としています。MPS は、整形外科などの医療技術をはじめ、時計産業、自動化、航空宇宙産業、科学、光学など、要求の高い市場に対応しています。
MPS Micro Precision Systems AG の 3拠点に、高い技能を有する 400 名の従業員を擁しています。市場は次の 4 ユニットで展開します: MPS Microsystems、MPS Watch、MPS Décolletage、および、MPS Precimed。 さらに、電気機械駆動システムについては、MPS は親会社であるファウルハーバー グループのノウハウを活用することができます。