モビリティの変化をチャンスに
駆動技術の組み合わせと E モビリティには、さまざまな高精密研削コンポーネントが必要となります。トゥーンを拠点とする高品質研削技術のメーカーであるFritz Studer AG は、生産性の高い処理コンセプトを開発し、高品質研削盤を装備しています。
モビリティの変化によって、機械加工生産が突然崩壊する心配はありません。この点については、トゥーンの研削盤メーカー STUDER のスペシャリストも確信しています。STUDER の最高営業責任者(CSO)であるサンドロ・ボッタッツォ(Sandro Bottazzo)が強調するように、コンポーネントの製造スペクトラムは何年あるいは何十年にも渡ってゆっくりと継続的に変化しています。この変化に対応するため、世界各地で販売されている乗用車の予想台数とそれらの駆動技術の割合を観察しています。「さまざまな分析から、今後も長年に渡って世界の数々の地域でエンジンが重要な割合を占め続けることが予想されます」とサンドロ・ボッタッツォ(Sandro Bottazzo)は語ります。
多様な駆動技術が市場を安定させます
今後数十年の間に、駆動技術の多様化は平行して進むでしょう。純粋にバッテリーだけで駆動する電気自動車に加えて、排ガス浄化のあるディーゼルエンジン、水素エンジン、ハイブリッドエンジン技術(燃焼エンジンと電気モーターの組み合わせなど)、燃料電池から電気を生成する電気駆動が引き続き乗用車およびトラックの駆動として使用されます。また、その他の駆動技術が開発される可能性もあります。つまり、製造会社にとって、ドライブトレイン向けの精密コンポーネントの需要があるということです。これらの精密コンポーネントには、シャフト、アクスル、ブッシュ、コンプレッサーホイール、カムシャフト、クランクシャフトが含まれます。さらに、現在開発されている自律車両が近い将来大量生産されるようになります。そのために、自動車産業は、さまざまな異なる精密コンポーネントがさらに大量に必要となります。
複雑なシステムが需要を拡大します
効率的な駆動技術の多くは非常に複雑なシステムを要します。これには、制動の際に電気エネルギーを回生するハイブリッド駆動および電気駆動なども含まれます。機械加工生産では、生産する大変複雑なコンポーネントの数量がさらに増えることを意味します。「これはさらなるチャンスを開きます。今後も、市場を注意深く観察しつつ、製品の更なる開発に取り組みます。」とサンドロ・ボッタッツォ(Sandro Bottazzo)は強調します。革新的な研削技術の現在既に知られているアプリケーションにはCVT ギア(特に、ハイブリッド駆動で使用されます)用コンポーネント、電気モーター用ローターシャフトとギアシャフト、ターボチャージャー用シャフト、燃料電池用コンプレッサーシャフト、水素エンジン用シャフトとバルブ、電動ステアリング用スクリュードライブ、および、電気モーターのハウジングを経済的に処理するためのさまざまな精密工具が含まれます。 後者については、大きな成長が見込まれます。
生産性が高く経済的な最先端の研削コンセプト
サンドロ・ボッタッツォ(Sandro Bottazzo)が言うように、Fritz Studer AG は上記のコンポーネント向けの信頼できるプロセス安全性の高い研削技術を提供します。例えば、CVT ギアでは、一次シャフトと二次シャフトを研削します。最短の処理時間とスループットタイムで、モデル STUDER S41 の研削盤上でクランピングプロセスで高精密加工することができます。シャフト内のボールトラックの溝もシーフの穴もクランピングプロセスで研削可能です。そのために、研削盤 S41 では信頼性の高い Y 軸に取り付けられている垂直スピンドルを使用します。シーフ内のボールトラックの高精密研削の際には、STUDER が開発した特殊ユニットの 1 つで加工します。特に経済的な製造のために、クランピングプロセスでの研削と完全自動化された手続きを組み合わせます。これは、ワークピースの積み込みと積み下ろしおよび測定、ならびに、研削プロセスの適応制御に関係します。特に、後者は、最高の精度とプロセス安全性に貢献します。サンドロ・ボッタッツォ(Sandro Bottazzo)は次のように説明します: 「STUDER は製造工場にすべてのコンポーネントが相互に調整された完全なプラントを提供します。」
電動ステアリング向けステアリングラック
特に自律制御車両で必要な電動ステアリングは、高精密研削されたねじ山付きロッドで動作します。その中を移動するボールがステアリングの動きを駆動します。この「ボールスクリュー」を STUDER の研削盤を使ってブランク から研削します。これによって、その他の処理技術と比較した場合に、同様の作業時間でより優れた表面品質を達成します。ステアリングノイズが低減して、ステアリングギアの寿命が大幅に延びます。ドレッシングには STUDER が独自に開発したドレッシングユニット WireDress®(プロファイルのワイヤー放電加工)を使用します。WireDress® は、メタルボンドの CBN 研石およびダイヤモンド砥石による研削において、まったく新しい可能性を提供します。放電加工機能が統合されたドレッシング技術は、非生産時間を大幅に節約することに加えて、最高動作速度時に研削盤の最高精度を保ちながら焼結金属結合を実現します。
燃料電池用の高回転コンプレッサーホイール
燃料電池には大変高い回転数で動作する電動コンプレッサーが必要です。そのため、中に組み込まれたシャフトとディスクは高精密処理されていなければなりません。さらに、これらのコンポーネントは処理が難しい材料で構成されます。これに対応するため、STUDER は独自の研削コンセプトを実現しました。円筒研削盤 S41 で、シャフトをピールグラインディングによって、高速で処理できます。CBN ディスクは STUDER が独自に開発した技術 WireDress® でドレッシングします。同期化可能なテールストックによって、ユニバーサル円筒研削盤はさまざまな寸法のコンポーネントを確かに積み込みます。
電動ターボチャージャー用コンポーネント
小型で高性能、そして、優れた効率の燃焼エンジンを、ターボチャージャーだけで実現します。このような燃焼エンジンは、十分な排気流と排気圧のもとで初めて動作します。つまり、燃焼エンジンの回転数が十分に高くなければなりません。こうして初めて、コンプレッサーは、燃焼用空気を増やしてシリンダーに供給するために必要な圧力に高めることができます。エンジン回転数が低い場合に空気流や空気圧が不十分な状態を「ターボラグ」と呼びます。ターボラグを防止または低減するために、電動チャージエアコンプレッサー、いわゆる E ブースターを使用するエンジンメーカーが増えています。その中に組み込まれているモーターシャフトは、例えば、STUDER の S31 などのユニバーサル円筒研削盤で研削します。まず、ローターシャフトの直径そしてショルダーを研削します。そのためには、ワークピースを移動するための特別なクランピング装置が必要となります。研削後にマグネットを取り付けます。最後に、チタン合金製のスリーブをマグネットにプレスします。そして、スリーブの外側を正確な直径に研削します。ユニバーサル円筒研削盤 S33 がこれを確実に実行します。
モーターハウジング用工具
サンドロ・ボッタッツォ(Sandro Bottazzo)が説明するように、電動モビリティの増加によって、実際の車両コンポーネント以外にも、特に、工具を高精密研削する必要があります。ここでも STUDER は相応のコンセプトを開発しました。要求される精度を達成するために、対応する STUDER 研削盤には生産工程内測定システム LaserControlTM が実装されています。光学式の非接触測定システムです。適応制御「クローズド・ループ・プロセス」が研削処理を制御します。
シュトゥットガルトで開催される GrindingHub 見本市で革新技術を紹介
サンドロ・ボッタッツォ(Sandro Bottazzo)は GrindingHub 見本市(2022 年 5 月 17 日~ 20 日、シュトゥットガルト)にて、研削技術の可能性について話します。STUDER は UNITED GRINDING グループスタンドにて、研削技術を出展。E モビリティの既知の部品、そして、今後の部品を経済的かつ効率的に研削する技術でを紹介します。サンドロ・ボッタッツォ(Sandro Bottazzo): 「初開催となる GrindingHub を大変楽しみにしています。この見本市が研削盤メーカーにとって研削技術業界の新しい出会いの場になると確信しています。グループ全体で1.200 m2 のブースで革新技術をご紹介します。ぜひともお越しください。驚きの革新技術がお待ちしています! 」。
UNITED GRINDING は、GrindingHub で展示会初日の2022 年 5 月 17 日午前 10 時に新しい技術を発表します。新しい E モビリティに適した STUDER 円筒研削盤に関する情報も含まれます。